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でじはうす : プラスアルファな情報を熱量込めてお届けします(旧・なつみ憂のブログ)

就職活動をせず大学を卒業してしまった僕が、フリーターを経てWebデザイナーになるまで

四年制大学卒 → フリーター → Webデザイナー

僕は現在、一応Webデザイナーという肩書きの元で働いている。これはかねてから自分が望んでいた事で、毎日それなりにやりがいを感じつつ働けている。世の中の多くのWebデザイナーがそうであるように、残業はまあまあ多めで、決して高い給料をもらっているわけでは無い。ただ土日祝日に出勤する事はほぼ無く、総合的に考えて良い労働環境だと思う。

僕は学校を出てすぐにWebデザイナーになったのではなくて、わりと色々あってWebデザイナーになった。どうやって今の会社でWebデザインの仕事をするようになったかというのを、大学時代から振り返って多少細かく書いてみようと思う。この記事は、例えば今現在別の仕事をしているけれどWebデザイナーに興味があるという人や、デザインやITとは関係ない学校に通っているけど将来Webに関する仕事に就きたいという人に参考にしてもらえればとても嬉しい。

(もくじ)

  • 四年制大学卒 → フリーター → Webデザイナー
  • 就職活動を放棄してしまった
  • 就活をやめて音楽を聴きあさる
  • 無職と哲学は相性が良い
  • 地元に引っ込んで趣味に没頭。フリーター生活へ
  • 純粋に楽しかった時代。そんな時代も長くは続かない
  • 建築とWebデザイン
  • 独学HTMLは結構大変。
  • わりとあっさり、グラフィックデザイナーとして採用される
  • 徐々にコーディングもやらせてもらえるように
  • Webデザイナー・Webデベロッパーとして、これから

 

※僕の個人的な体験記であり「Webデザイナーになるためにはどうしたらよいか」という具体的な方法やハウツーではないので、そういった事を知りたい方は以下のような記事をご覧になって下さい。

参考:1年でフリーのWebデザイナーになった僕が実行した8つのステップ【独学デザイン勉強法】 - Literally

参考:19のステップで、まったくのゼロから、独学でWebデザイナーになる方法 - ウェブデザイナーになるには

Webデザイナーになるまで

就職活動を放棄してしまった

大学三年生になると、多くの人は就職活動を始める。友人達も突如髪が短くなり、スーツで登校してくる。僕としては、そういった就職活動の雰囲気が最初からまったく馴染めないように感じていた。公務員試験の勉強をしたりするのもダルかったし、皆についていくような形で就職説明会や合同説明会に行ったりもしたが、場違い感が半端じゃない。企業の人たちの話とかは一切興味を持てず、それじゃあダメだと思って必死にメモとかとるのだが、興味が無いから何も書く事もなく、結局なにも頭に入らず眠くなってしまう。

そもそも僕は昔から、自分に関係ないと感じるような話や根本的に関心が無い話が一切頭に入ってこない。どうがんばっても無理なのだ。小学校のときからそうで、授業中はずっと教科書のすみっこに絵を描いていた。ただ勉強が嫌いだった訳ではなかったので、ある程度の成績をキープ出来ていた。だから誰にも咎められる事無く、話を聞かない癖だけが残って行ってしまったのだと思う。

就職活動に興味が持てない自分はダメな人間なのだろうかと悩んだ。つい数ヶ月前まで一緒にカラオケとかでばか騒ぎしていた仲間達が、ウソのように真面目な振る舞いを見せ始める。というかそれが普通なのだが、自分にとってはそれが無理だった。

惰性で就職活動を始めた僕は、周りに流されるまま有名企業に応募した。関心が無いなりに「ココ入れたらすごいじゃん」とか思いつつ適当に受けまくったのだ。僕の大学は一応そこそこの高偏差値で、実際友人達の多くも一部上場企業に入ったり官僚になるなどして立派に働いている。僕もペーパーテストやエントリーシートは通るのだが、一次面接で軒並み落ちて行く。今思えばあまり前だったと思うが、そもそも就職活動自体をなめ腐っていて、大して対策もしておらず、見当はずれな事ばかり答えていたから受かるはずが無い。只でさえ上手く人前で話せないのにこの調子だったのだと思うと、当時の面接官の方々には大変失礼な事だったと今になって反省している。

なにはともあれ、「自分は普通には就職できないらしい」という重大な事実に直面した。せっかく頑張って難しい大学に入ったのに、全てが無意味だったと思って辛くなった。

就活をやめて音楽を聴きあさる

しかし、人間というのはよく出来ているもので、耐えきれない絶望は自動的に忘れられるようになっている。

僕は大学2年生くらいのころから音楽、特に「ハウス」というダンスミュージックにかなりはまり、たまたま友人にDJの人がいたこともあって、実際に自分もDJのまねごとのような事をするようになっていた。クラブで音楽を聴く楽しさを覚えて、本当に自分が好きな何かに出会えた気がしていた。当時好きだったのはKaskadeだ。クラブでも家でも車でもずっと聞いていた。現在はいわゆるEDM寄りになってしまった。またEverythingのような曲を作ってくれることはもう無いだろう。

そんな訳でハウスからダンスミュージックの世界に入って行った僕は、主にネットを通じて新しい音楽をひたすら掘り下げて行った。そこで見つけた中にはtofubeatsもいたし、Soccerboyもいたし、とにかくネットをしていると毎日素晴らしい音楽に出会える。就職活動がどうでもよくなるのも無理ない。

好きな音楽を聴いていると現実世界の全てがどうでも良くなった。徐々に自分でも音楽を作ってみたいと思い始め、バイト代をはたいて機材を揃えて行った。はじめは全く曲なんて出来ないのだが、コード進行を勉強したりミキシングのやり方を本で学んだりして、ちょっとしたJ-POPのリミックスなんかを作れるようになっていった。それをYouTubeに上げたりして、反応が来たり来なかったりするのだが、とにかく曲が形になると嬉しかった。

その後、Justiceや80kidsのようないわゆるフレンチエレクトロが好きになり、それからJames Blake、Flying LotusのようなDub step〜ビート系に落ち着いて今に至るというのが僕の音楽遍歴。それは同時に、自分自身の限界を知るに至る経緯でもある。

無職と哲学は相性が良い

そうやって就職活動をせず音楽漬けになっていた僕は、同時に本にハマっていた。学生時代バイトと遊びばかりでろくに勉強していなかった僕は、その反動か突如取り憑かれたように一日中本を読んでいる事もあった。今だって僕は「文化系Webデザイナー」と自称しているが、そういうに値するだけ文系の本を読みあさったと思う。

結構ガチの哲学書や政治学の本を読んだ。例えばロバート・ノージックの「アナーキー・国家・ユートピア」には深い感銘を受けた。国というものを当たり前に考える必要なんてないのだ。また、ジャン・ボードリヤールの「消費社会の神話と構造」も何度も読み返すぐらい好きだ。これを読むと、現実社会の人間の営みが本当に滑稽なものに見えてくる。

もちろん、東浩紀、宮台真司、浅田彰などの日本の社会学者や批評家達の本や、宇野常寛や濱野智史らの若手論客(と、当時言われていた)の本も一気に読んだ。「思想」とか「批評」のようなものが一気に自分の中にインストールされていった時期だと思う。

さらにありがちな事に、映画にもはまり始めた。もともとそれなりに映画は好きだったが、TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」のシネマハスラーや町山智浩の映画評論と出会って、映画の見方がどんどん広がって行った。最新作は映画館に観に行き、過去作もキューブリックやイーストウッドの作品が特に気にいってどんどん観て行った。

地元に引っ込んで趣味に没頭。フリーター生活へ

これは幸か不幸か、といった所なのだが、自分の周りにこんな事をしている人物はいなかった。みんな音楽にも本にも映画にも何の関心も無いようだった。というかそれは普通なのだと思う。音楽や本で、得する事は別にないし。僕としては本や音楽や映画の事を共有出来る人があまりいなかったというのは寂しい事だったが、変に結託出来る仲間がいたら、それはそれで良くなかったとも思う。

とにかく僕は、かれこれ3、4年くらいこういう生活をしていた。つまり大学を卒業してもずっと本と音楽と映画三昧だったのだ。しかしニートだったわけでは無く、アルバイトをしながら生活していた。大学卒業後に地方の実家に帰ってきた僕は、友人の紹介でかなり待遇のいいアルバイトを見つけた(といっても怪しいものではなく、ちゃんとした仕事。一応このブログでは内容は伏せておく)。

親は多少は口うるさく言ってきたが、多分僕自身自然と耳に入らないようにしていたような気がする。そういう意味では、やっぱり現実逃避していた部分はある。実家はそれなりに裕福で家にお金を入れる必要もなく、バイト代でCDと本と音楽機材を買いまくっていた。映画も気になる新作は必ず映画館に見に行っていた。

地元には留年してモラトリアムを謳歌している友人もいた。気心の知れた友人達だったので、彼らとは趣味の話は出来ないにせよ毎週のように遊んでいたから、自分の世界に入って孤独になる事もなかった。

純粋に楽しかった時代。そんな時代も長くは続かない

そんな訳で、当時の自分はフリーターをしながら好きな事に熱中する以外に選択肢がなかったというぐらい、必然的にフリーターを楽しんでいたように思う。それが間違っていたとか正解だったとかではなく、そうするのが自然の流れで当たり前だったという風に思うのだ。実際当時は心から「幸せだなあ」と思っていたし、もちろんこれがずっと続くとは思っていなかったし、自分のキャリアにおいて大きなハンデを作っているという自覚もあったのだが、あまりに幸せだったからやめられなかった。「ブロークバックマウンテン」を観るたびに、「おれのブロークバックマウンテンはあのフリーターの時代だよ・・」と共感してしまう。

そんな友人達も徐々に就職していくと、さすがに孤独になり始めた。周囲でちゃんとした仕事をしていないのが自分だけになった。他方でtofubeatsはどんどん有名になり、同年代の社会学者(古市憲寿や塚越健司)が鮮烈なるデビューを果たしているではないか。自分が世の中から切り離されて行くような不安が徐々に芽生え始めた。いずれにしても、このままの生活をずっと続けて行く事は出来ない。それでも、そんな不安をどこかにおしやりつつ1年ぐらいはフラフラ過ごしていた。

建築とWebデザイン

そんなあるとき、「思想地図」シリーズを立て続けに読んだ。そして"アーキテクチャ"という概念に出会う。アーキテクチャ("architecture")とはもちろん建築とか建築術、構造といった意味なのだが、最近の社会学でも重要な意味合いで使われる。下手な事を言うと間違えそうでアレだが、とにかく「人々を無意識のうちに何かに向かわせる仕掛け」を総じてアーキテクチャと呼ぶらしい。

例えば某ファストフード店の椅子というのは、実は座り心地の良くないモノがわざと選ばれていると言われる。座ってしばらくはそれを感じないので気づかないが、長時間座っていると辛くなってきて、自然と席を立ちたくなる。そういう絶妙な形状の椅子がおかれているのだ。そうやって客の回転を増やし、売り上げに繋げている。

これは本当にすごい思った。それまでずっと、哲学や文芸批評の抽象的な事柄ばかり考えていた僕だが、初めて実際の社会の何かに興味を持った瞬間だったと思う。これと深く関係する濱野智史の主著「アーキテクチャの生態系」というのも本当にすごい本で、思想地図と合わせて自分にとって非常に重要な本だ。

そもそも僕は、中学高校のころはずっと建築家になりたいと思っていた。美術と技術の授業が好きで、先生からの評価も良く、自分に向いていると思っていたので、なにか立体物を作る仕事に憧れるようになっていた。しかし、建築家になるには、大学の工学部を出ている必要がある(実際には必須でもないのだが、工学部の建築学科を出るのが建築家のデファクトスタンダードである)。僕は高校時代、理数系が極端に出来ずにすぐさま工学部を諦めてしまった。わりと真面目な目標が早くも失われた。それが高校一年生の夏頃。つまり高校一年生のころから、フリーターになる運命が決まっていたとも言える。

しかし、「アーキテクチャの生態系」を読んでみると、「アーキテクチャ」がインターネットの文脈で語られている。そこからネットのことを色々調べて行くと、建築とネットが極めて近い考え方で成り立っているんじゃないかと思い始めた。

例えばショッピングモールでは、お客さんにモノを買わせる為に通路の作り方を工夫している。これはこの場合、マーケター目線でいう「導線」だ。これはECサイトなんかでも全く共通で、どこにどんなバナーを置くかとか、どこからリンクさせるかというのもまさに「導線」と言って考える。このあたりは、速水健朗の本からかなりインスピレーションを得た。

建築家にはなれなかったけど、ネットならそれに近い事、もしかしたらもっと面白い事が出来るかもしれない」そう思った僕は、だんだんWebデザインの勉強を始めるようになった。というか今言ったようなことは、当時ははっきりと意識していた訳ではなくて、ただぼんやりと「Webデザイナーとかいいな」という感じだった。しかしいま振り返ってみると、その選択の背景はこのように一つのまとまりをなしている。後付けの美学だ。

独学HTMLは結構大変。

HTMLやCSSの勉強は慣れないうちはかなり難しかった。本を読んでもあまり頭に入らない。世の中のWebデザインの学習本というのは、あまりよく出来ているものが無いと思う。今出来るようになって思うのだが、実際に現場で使わないような事が書かれすぎているし、説明の順番もおかしいと思う。

例えば「絶対パス」と「相対パス」という考え方がある。大体のHTML本で最初の方に書いてあるのだが、Webサイト全体の構造が分からないうちにこんな事を言われても全く意味不明だった。実際に仕事でコードに触れれば、そんな言葉を知らなくても自然に理解出来ることなので、これを頑張って勉強していたのが本当に時間の無駄だったと後悔しきりだ。

とにかく、独学でHTMLやCSSを勉強するのはすごく大変だ。しかし僕は、小学生の頃からPhotoshopで絵を描いたり写真を加工したりして遊んでいて、それなりに使う事ができた。しばらくブランクがあったものの、Creative Cloudに早速申し込み、Photoshopを再びやり始めた。というのも、HTMLが出来なくても「グラフィックデザイナー募集:Photoshopが使える方」という求人が結構あるのに気がついたのだ。Photoshopにはそこそこ自信があったし、手当たり次第に応募してみた。ポートフォリオも何も無かったのに、よくやったものだと今になって思うが。

わりとあっさり、グラフィックデザイナーとして採用される

いくつか受けて普通に落ちたが、ある会社にアルバイトで採用してもらう事ができた。自社で中規模のポータルサイトを運営している会社で、そこでバナーを作ったり画像の加工をしたりする業務だ。僕が応募した枠には50人以上受けていたらしいのだが、なぜか何の実績も無い僕が受かった。後で担当の人に聞いたら、「いや、君高学歴だったし、デザイナーとしてダメでも事務とかに回せるとおもったんだよね〜」と言われてしまった(!)

これがクリエイターの現実、と思うと同時に、気軽に応募して良かったと思った。ちゃんとした作品が無くても、熱意をみせればそれなりに採用時も見てくれると思うので、あまり考えすぎずに行けそうな所には履歴書を送ってみると案外良い事があるかもしれないよ。僕ですらそうだったから。

それからは、早く認めてもらえるように頑張るのみだった。とにかく、作品の完成度よりも素早く大量につくる事を考えてデザインをこなしていった。Facebook創始者、マーク・ザッカーバーグの言葉にこんなものがある。

"Done is better than perfect." = 「完璧に仕上げるよりもまず終わらせろ」

自分の中では7割ぐらいの完成度でも、提出してみたらあっさりOKな事もあるし、悪い点、足りない点があればそのポイントが指摘されて返ってくるだけなのでそれを直せば良い。あまり細部で悩んでも良い事はない。まず手を動かして、ざっくり出来たら良しとする。これを繰り返した。

徐々にコーディングもやらせてもらえるように

そのうち、そういった姿勢が認められたのかどんどん他の業務も任せてもらえるようになった。例えば、新たに立ち上げるモバイルサイトでアイコンのデザインをした。大まかには既存の別のアイコンをトレースするのだが、新しいサイトに合わせて自分なりに工夫を加えて行くのは楽しかった。Illustratorはそんなに出来かったのだが、その業務を通じて一気にマスター出来た。

それからHTMLを扱う本格的なコーディングもし始めた。ここで初めて気づいたのだが、本でHTMLを学ぶのと実際の業務でマークアップをしていくのは全然定着の度合いが違う。そのサイトにもよるだろうけど、実際に使うタグなんて限られているし、現場のコーディングの方針によっても多分かなりコーディングの仕方が違うので、その場その場でググって調べながらやって行く事になる。そしてそれが一番覚える。

なにはともあれ、そうやって一歩一歩ステップを踏みつつ、なんとかWebデザイナーと名乗れるだけの所まで来た。かなり遠回りではあったが、「建築家になりたい」という消えかけた目標が別の形で叶えられつつある

まだまだ技術が足りないので、当面はまだまだ勉強することがたくさんある。業務で使うJavaScript、PHPやRuby on Railsあたりをやっていくのだ。他に今話題のMEANスタックなんかもやってみたい。一通り入り口だけ通ったら、簡単なものでもいいからWebサービスを作ってこのブログで公開できたらいいなと思っている。音楽をやっていた時にも今ブログをやっていても思う事だが、誰かからの反応を得る事が一番の励みになる。褒められてもけなされてもいいのだ。とにかく何か言ってもらうのが大事。

 

Webデザイナー・Webデベロッパーとして、これから

という訳で、これが僕の大学卒業から今に至るまでの流れ。自分の興味に妥協せず、かといって惰性に流される事もなく来た。というと良く言い過ぎで、かなりダメな所もあってあまり書いていないだけなのだが、まあ、自分としては楽しく過ごしたしいいかなと思っている。

周囲の友人を見ているとものすごく立派な人が多すぎて、今現在収入の差もかなりついてしまった。稼ぐお金が全てではもちろん無いが、もっとがんばって追いつきたい。正直、Webデザイナーというと少し半笑いで受け取られる事もある。「何クリエイターぶってんだよ」的なやつだ。僕としては、WebデザイナーやWebディベロッパーというのは今後どんどん社会での重要度も需要も増してくるし、その事を理解してもらいたいと思っている。なめられるとカチンとくるし、そういう反応をする人を見返したい。その為にも頑張らないといけないのだ。(※あとその前に、このブログのデザインも少しはかっこ良くしとかないと信頼度がた落ちですね笑)

ムダに長文になってしまった。もしも、全部読んでくれた人がいたのなら感謝感激です。なにかご質問がありましたら、コメント欄やTwitterからでも気軽にお声がけ下さい!

Webデザイナーになるまで