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でじはうす : プラスアルファな情報を熱量込めてお届けします(旧・なつみ憂のブログ)

Web制作会社が苦境に立たされるサンフランシスコ。今後業界はどうなっていく?

Web制作会社の今後

参照:Flickr: adactio's Photostream

流れが早いIT業界。モバイルへの対応やHTML5など新規格への移行など、Web制作会社も常にトレンドを意識しながら動いていかなければなりません。しかし、そうした状況の中でちょっと気になる情報を海外のブログで発見しました。ニューヨークで複数のWeb企業の経営に関わるKhoi Vinhのこちらの記事(The Shift Away from Design Agencies Has Started in San Francisco)よれば、サンフランシスコではWeb制作会社の需要そのものがなくなりつつあるというのです。以下に内容を翻訳してお伝えします。

サンフランシスコで始まるWeb制作会社の苦境(記事翻訳)

サンフランシスコのWebデザイン企業でベテランデザイナーとして活躍するPeter Merholzは、自身のブログでWeb制作業界に関する興味深い記事を投稿しました。この記事は最近の2つのニュースに触れています。そのニュースというのは、Smart Design(有名Web制作会社)のサンフランシスコ支社の閉鎖と、金融サービス企業によるAdaptive Path(Webコンサルティングのリーディングカンパニー)の突然の買収劇です。Merholzは、多くの企業が自社でインハウスのデザインチームを持ち始めていることが、Web制作会社を苦しめていると指摘しています。

詳しい友人に聞くところでは、企業がクライアントとしてデザインを発注する機会は明らかに減っているらしく、プロジェクトの予算も削られているそうだ。趨勢としては、それぞれの企業が自社内に独自のWeb制作・デザインのチームをつくり、今までデザインの外注予算とされていたものがそこに流れていくことが考えられる。今まで企業のデザイン予算というのは、20%が自社の人件費で80%が外注向けとされていたが、現在ではこれが逆転しているといっても良い。

この現状というのは、実は以前から予想されていた事です。「案件の委託・受託(クライアントサービス)の終焉」という記事を私が書いたのは、3年も前の事でした。その内容は以下のようなものです。

そういったサービスの形態を求めるクライアントは減っていく。今後はあらゆるビジネスがデジタル化し、デジタルな製品に対する責任が生じていく。企業が外注に頼らずに自社でデザインや開発を行い、自社でメンテナンスしていかなければならなくだろう。

こういった出来事がサンフランシスコで最初に起き始めている事については、大きな意味があります。サンフランシスコにはWeb制作会社に対する潜在的な顧客がかなり集中しており、彼らの多くがデザインの外注という事に対する意味をあまり感じなくなり始めているという事ですから。そして、この現象はサンフランシスコに限った話では無くなるはずです。

 

これからWebデザイナーはどうなってしまうのか?

翻訳は以上。以下は僕自身の感想です。

あるデザイナーの先輩が、某有名制作会社に転職してすぐに退職した話を思い出しました。曰く、「Webの受託業務はもう駄目」とのこと。特に地方で制作案件を中心としている会社はすでにかなり厳しいという事でした。実際にはうまく行っている会社もたくさんありますし、やり方次第だとは思いますが。

ただ、今後Webの制作だけでやっていくのが難しいとすれば、Webデザイナーはどうしていくべきなのでしょうか。サンフランシスコの事例から考えると、WebデザイナーはWebデザイン事務所や制作会社だけではなく、一般の企業でインハウスのデザイナーやディベロッパーとして働く人が増えていくはずです。おそらく、一人のWebデザイナーに求められる業務の幅も増えていきますし、マーケティングの視点も求められていくはずです。

例えば、Webサイトを作ったのならSEO対策をしっかりかけて、マーケティング部門と協力して広報活動も行い、それに応じてランディングページをつくったりする事が一挙に求められるのかもしれません。

目の前のことにとらわれず、技術をつけておく

ただ、サンフランシスコでの動向というのは、デザインやブランディングの重要性を理解した上で成り立っているとも言えます。日本ただでさえクリエイターが軽視され買い叩かれていますから、自社でデザインチームを持つ事をムダだと考える経営者もかなり多いでしょう。それはそれで悲しい事でもあります。

何れにしても、業界の動向に身を任せるのみです。Webデザイナーの在り方は変わるかも知れませんが、社会におけるWebの重要性はこれからも増していくはず。あらゆる事に対応出来るように技術をしっかり身につけておくことが重要なのは変わりません。今後も目の前の変化にとらわれずに精進していきたいと思う次第です。