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感動できる深い映画27作品を感想付きでご紹介します

ヒューマンドラマ〜文芸映画の傑作特集

スカッとするばかりが映画じゃない!

映画を観てハラハラドキドキしたり、大笑いしてスッキリしたりするのも良いですが、やっぱり深く感動できる名作を観ると感性がより豊かになるような気がします。中には「難しくてよく分からない」とか「この主張には納得できない」という評価を受けているものもありますが、それだけのパワーを持った映画をみるのもたまには良いでしょう。

こちらでは、アカデミー作品賞に選ばれるような文芸映画やヒューマンドラマ系の深い洋画を27本、感想付きでご紹介します。ほとんどがかなり有名な作品なので、DVDレンタルも出来ると思われます。

 

深く感動出来る27本の映画 一覧

ザ・エージェント('96)

プロ野球からメジャーへ選手が移籍するとき、「代理人」の存在がクローズアップされる事がある。アメリカではこのスポーツ代理人の地位がかなり高くて、選手一人を移籍させる事で驚く程のギャラをもらえるのだそうだ。「ザ・エージェント」はそんなスポーツ代理人をトム・クルーズが演じている。

利益第一主義に疑問を感じた主人公が会社をクビになってしまい、そこから人々の支えの中で自分を見つめ直して奮起して行くというあらすじ。挫折味わった男が、人の支えを助けに立ち上がって行くという、ストレートながらも心温まる作品だ。僕はこの映画あたりから「トム・クルーズって俳優として結構本当にすごいのかも」と思い始めたが、現在のトムの姿を見てそれもあながち間違っていなかったと思う。トムをいけすかない野郎だと思っている人は、「トロピック・サンダー」という映画を見たら腰を抜かすだろう。ちなみに主人公を支える女性をレニー・ゼルヴィガーが演じていて、この役で好評価を得たレニーは次に出演した「ブリジット・ジョーンズの日記」で大ブレイクを果たす。

ザ・エージェントはHuluで視聴可能。スマホでもPCでも見られて最初の2週間はなんと無料。カンタン登録でおすすめです!

 

キャストアウェイ('00)

「フォレスト・ガンプ」と同じトム・ハンクス主演、ロバート・ゼメキス監督のコンビ。無人島に漂着した男が、生き延びる為に頑張る話。これだけで二時間話がもつのかとも思ったが、「生きるとは何か」といった事に正面から切り込んだ深い話になっている。

バレーボールのくだりなんかは、「なぜ宗教が存在するのか」という事を当時中学生だった僕にも分からせてくれた気がする。あとはやはり、痛々しい程に痩せていくトム・ハンクスの俳優魂に心を打たれる。

 

戦艦ポチョムキン(1925)

映画が好きな人なら一度は耳にした事があるであろう、1925年のソ連映画「戦艦ポチョムキン」。さすがにかなり古いしサイレント映画だし、それだけで難しそうな印象もあるが、普通にハラハラできる感じで面白い。

監督のセルゲイ・エイゼンシュタインは映像文法というものを確立した人物として知られていて、「戦艦ポチョムキン」は世界中の映画学校などで教材として使われているらしい。ある話を映像で語るためには、どういう順序でどういうものをどういう角度から撮れば良いのか、といった事の基礎はエイゼンシュタインによって形作られた。僕はこの話を菊地成孔と大谷能生の慶応大学での講義録「アフロディズニー」で知り、とても興味深いと思っていた。気になった方は是非こちらも読んでみて下さい。

 

レスラー('08)

世界で54もの映画賞を獲得したという誰もが認める傑作。監督はダーレン・アロノフスキーで主演はミッキー・ローク。落ち目のプロレスラーが自分の人生を見つめ直していくが、最終的に下す決断とは・・?といったあらすじ。

僕は80年代のアイドル時代のミッキー・ロークはあまり知らなかったのだが、この映画を観た後に画像検索してみて仰天しました。「落ち目の人が再起をかける」という展開は、ミッキー・ロークそのもののキャリアと同じ。主演俳優と主人公の人生を重ねるというのはこの次の「ブラック・スワン」でも踏襲されていて、本当に凄い作り方だと思う。両作品に共通しているのは「演じるとはなにか」ということ。そもそも、人は皆何かを演じて生きているものだ。会社での自分と家庭での自分はそれぞれ違う自分だろう。

ダーレン映画からは、「お前の役割を演じきることに命をかけろ!」という強いメッセージが感じられる。「ブレない自分の軸をなんちゃら」みたいな薄っぺらい自己啓発本よりも遥かに説得力がある。ダーレン・アロノフスキーには、今後もそれを掘り下げた作品を撮り続けていってほしい。

レスラーもHuluで視聴可能です!

 

レ・ミゼラブル('12)

ご存知ヴィクトル・ユゴー「ああ無情」。身体の奥底から感動がわき上がってくるような、本当に素晴らしい映画。ミュージカルをそのまま映画にしていて、大半のセリフが全て歌で展開されるという異色作でもある。監督は英国王のスピーチのトム・フーパー、主人公のジャンバルジャンはヒュー・ジャックマンが演じている。

フォンテーヌ役のアン・ハサウェイが本当に素晴らしく、アカデミー助演女優賞も納得。「プラダを着た悪魔」みたいな可愛い女の子、「ダークナイトライジング」のキャットウーマン、そしてミュージカル映画で歌いまくる役をやっているアン・ハサウェイは、もはや出来ない役が無いんじゃないか。原作を読んだ事が無い人は、19世紀のフランスについて少しでも頭に入れておくと分かりやすいかと思う。

 

ショーシャンクの空に('94)

あらゆる「おすすめ映画ランキング」の類いで、必ずと言って良いほど上位に入ってくる映画。無実の罪で投獄された男が希望を捨てずに生きていく話。この映画では、刑務所での生活というものが人生に置き換えられている。人生には辛い事や不条理な事が沢山あるが、粛々とそれを受け入れる人もいるし、なんとかそれを改善していこうという人もいる。そして時にはそこからの脱走を試みる人もいる。僕たちの生きるこの世界はある意味では刑務所の中なのだ。

サルトルの言うように、人は自由の刑に処せられている。この言葉を初めて知ったのは中3ぐらいの時で、まだよく分かっていなかったが、20代後半まで来たいま、僕も自由がかなり辛くなってきた。まあ頑張ったところで世の中改善しそうにないし、僕もしばらくコツコツ抜け穴掘っておこうかな・・。フランク・ダラボン監督、ティム・ロビンス主演。

 

ミッドナイト・イン・パリ('11)

僕が唯一観たウディ・アレン作品。しばらく低迷していたウディ・アレンだが、この作品で一気に復活したらしい。パリに婚約者家族と滞在していたアメリカ人の脚本家が、あらゆる文化が花開いた1920年代のパリに迷い込む、というあらすじ。1920年代というのはアメリカで禁酒法が施行されていて、酒を飲みたい多くのアメリカの作家・芸術家がパリに来ていたらしい。

日本も大正時代はかなりイケていたなんていうし、けっこうこの辺りって1970年代ばりに世界中がイケていたのかもしれない。主人公が自分の世界に入り込んでいくという点では、村上春樹的なところもあると思った。

 

タイタニック('97)

タイタニック公開当時は学校でも男子女子問わず多いに話題になっていて、そんな映画は当時そんなに無かったので良く覚えている。超大作である上に大ヒットし、ちょっとバカにされている感じもあった気がするけど、普通に観て面白いし、特に主演の二人、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの存在感が映画の格をかなり上げている感じがする。

ちなみにレオナルド・ディカプリオは当時レオ様と呼ばれて、完全にアイドル扱いだった。ちょっともてはやされて消えそうな気配がかなり漂っていたが、今ではすっかり名優の地位を確立している。ただ、ウルフオブウォールストリートなんかを観ていると、かなり俳優として個性的に方向にも行きつつあると思う。あと、何故かアカデミー賞にかすりもしないディカプリオ。それが原因でやる気がないなんて話も聞こえてきますが、これからももっと色々な映画で拝見していきたいと思う。

 

50/50 フィフティ・フィフティ('11)

27歳にしてガンを宣告され、生存率が50%といわれた男が主人公。「なぜオレが?」と悩む主人公アダムと、そんなアダムを努めて明るく励ます友人・カイルの関係性が本当に泣ける。アダムと恋愛展開もあるカウンセラー役として、「マイレージ・マイライフ」でジョージ・クルーニーの部下を演じていたアナ・ケンドリックが名前を連ねる。

考えてみれば、僕たちは遅かれ早かれ死ぬ運命だが、それについて深く考えることは無い。それって多分正しくて、考えてもしょうがない事なんだと思う。実際に、万が一僕の友人が若くして死を宣告されたのだとしても、カイルのようにいつもと変わらない感じで接してあげたい。たとえ無神経におもわれても、きっとそうすべきなのだと思う。将来死んでしまう事以上に明白なのは、いまこの瞬間生きていることなのだ。ちなみにカイル役のセス・ローゲンはスティーブ・ジョブズの自伝映画でウォズ役をやるらしい。これはかなり期待大。

 

フライト('12)

そこまで期待しないで観たら、ボロボロに泣ける感動作だった。デンゼル・ワシントン演じる主人公・ウィトカー機長が操縦する飛行機がトラブルに見舞われて不時着するも、ウィトカーの天才的なテクニックで被害は最小限にとどめられる。マスコミにもてはやされ英雄扱いされるウィトカーだったが、彼の体からアルコールが検出され、事態は思わぬ方向に転がっていく・・というあらすじ。

感想を言おうとするとネタバレになってしまいそうで難しいが、人間の不条理性みたいなものを描きながらも凄くヒューマンドラマ的な感動作にまとめている所が凄いと思った。監督はロバート・ゼメキス。ウィトカーの弁護士役のドン・チードルのインテリ黒人演技もかなり良かった。

 

ライフ・イズ・ビューティフル('97)

イタリアのコメディアン俳優であるロベルト・ベニーニが主演・監督した映画。ナチの強制収容所に入れられた父と息子が、ユーモアと希望を失わずに日々を乗り越えていく様子を描いている。「ショーシャンクの空に」と一緒で、収容所の中をある種の人生に置き換えて、「これはゲームで、乗り越えてポイントを貯めていけばご褒美がもらえる」という父の教えもそうした事を示唆していると思う。

コメディアンというのは、この映画のお父さんのように辛い現実をいかに楽しいものに作り替えていくか、という仕事なのかな、ということを考えた。

 

ファミリー・ツリー('11)

アレクサンダー・ペイン監督、ジョージ・クルーニー主演。舞台はハワイ、ある弁護士の男性のもとに、妻がボートの事故で意識不明の重体だという知らせが。さらに追い打ちをかけるように、妻がずっと不倫していた事を知る。そしてそれと同時に、先祖から受け継いだ広大な土地を売却するか否かで、一族でもめ始める。

妻の生死と不倫、そして先祖代々の土地の売却といった、でかすぎる三つの問題を通していながらも、あくまでコメディタッチで通し、最終的に全てがひとつに繋がるような結論に行く所が素晴らしい。ハワイのほのぼのとした空気感も映画のトーンにあっていて、長女の彼氏であるシドには爆笑させられた。「家族とは何か」ということがしみじみと伝わってくる感動作。サントラも良いと思います。

 

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅('13)

小津安次郎ファンだと言うアレクサンダー・ペインが、小津へのリスペクトを最大限に表した映画。「100万ドル当たりました」というありきたりのインチキ広告を信じ込み、歩いてネブラスカまで賞金を取りにいくといって聞かない父・ウディ。見るに見かねた息子が、仕事をほったらかして父とはるばる長い旅に出る。

全編白黒で、アメリカの田舎をひたすら進んでいくという、なんとも穏やかな映画。はっきり描かれないながらも、ウディの過去や兄弟との関係性、妻との関係性などがそれとなく示されていくところが非常に上手く、それによってウディがどんな人物であるのかがよくわかる。ほとんど感情をあらわにしないウディだが、それが逆に心に染みる。ブルース・ダーンはこの演技でカンヌの最優秀男優賞を獲得。

 

クラッシュ('04)

「アメリカ」を真正面から切るとる映画を多く手がけているポール・ハギス監督作品で、サンドラ・ブロックほか多くの有名俳優が出ている群像劇。一つの交通事故を通して、アメリカ社会に渦巻く民族・人種差別や偏見というものの本質をついていく。自動車のぶつかり合いである交通事故に人間同士のぶつかり合う様子=「クラッシュ」を象徴させながら、アメリカという国のあり方を誠実に伝えている作品だと思う。

アメリカにおける人種間対立や偏見のニュアンスというものは、日本にいる僕らには実は全く理解しがたいところがあるのかも知れない。考えてみれば、「人種差別をしてはいけない」というメッセージは全く正しいものだが、世界にはドイツ人のトルコ人に対する差別や、日本人の韓国人・朝鮮人に対する差別など、色々な人種差別があって、それぞれに違った側面を抱えている。根本的な差別の感情は同じだとしても、十把一絡げにまとめて解決できるような問題では無いことがよくわかる。いずれにしても、あれこれと理由づけしてマイノリティをいじめているだけの差別主義者を許してはいけないということだけは変わらない。日本で今までに無く人種差別が取りざたされているいま、「クラッシュ」を観て気づくことは多いのではないだろうか。

 

プレシャス('09)

ニューヨークのハーレム、過酷すぎる家庭環境に生きる巨漢の16歳の少女・プレシャスの物語。あまりに過酷な内容を、コメディタッチでさらさらと物語っていくため、観ているこちらとしては「え、ええええ?」「はあああ?」みたいな事が連続する。なんせ、物語の冒頭で16歳にも関わらずプレシャスが妊娠している事が発覚し、その父親がプレシャス自身の父である事が示される。母親からも虐待に近い扱いを受けて、学校にも家庭にも居場所がなくなったプレシャスはフリースクールに通い始め、そこで出会った教師や仲間との交流を通じ人生に希望を見いだしていく、といったあらすじ。

この映画は、テレビドラマの「GREE」に近い所があると思う。プレシャスが辛さに耐えきれなくなった時、MTV風の画面に切り替わりポップミュージックがかかり始めるのだ。GREEもマイノリティを大きなテーマとしていて、その解決策としてポップスを提示したいた。日本ではJ-POPと呼んでポップス全般を軽んじている傾向があるが、大衆音楽というものをナメてはいけない。本当に危機に陥ったときにこそ、普段バカにしていたような歌詞が胸に響いてくるものだと思う。ちなみにこの映画にはマライア・キャリーやレニー・クラヴィッツが出演していて、驚く程自然に演じている。特にマライアの貫禄ある演技はすごい。

 

アメリカの夜('73)

フランソワ・トリュフォーが映画の舞台裏を暴露した事で話題になったという作品。一本の映画を作り上げるまでの過程をおもしろおかしく描いている。トリュフォーと言うと凄く敷居が高い感じがしていたけれど全然そんな事はなく、僕のような無教養な人間でもストレートに面白いと思えた。

個人的に僕はずっと、「アメリカから見たフランス」と「フランスから見たアメリカ」というものがかなり気になっていて、この映画にもそういう所が現れているのも興味深かった。ちなみにその点でいえば、「ウルフオブウォールストリート」にもアメリカ人であるディカプリオがスイス人の金融家とやりとりする場面がとても面白かった。アメリカ人でも、俳優や資産家といった上流の人物であるほど、伝統あるヨーロッパに対する対抗意識やリスペクトの念が強いのかもしれない。※僕はいわゆるヌーヴェルバーグの映画はほとんど観ていないのだけれど、唯一観たこれはとても良かった。ゴダールもこれから急いで観ます!

 

2001年宇宙の旅('68)

スタンリー・キューブリックの代表作で、未だに多くの映画に影響を与え続ける、SF映画の代名詞ともいえる映画。幾何学的な美学に支えられたキューブリックの世界観が、宇宙船の造形とバッチリ噛み合ったというのもこの映画が神秘的に見える所以だと思う。初めに断っておくと、僕はこの映画を見ようとしたものの、前半部分がつまらなすぎて3回程寝ては観直すを繰り返したという経緯がある。後半に差し掛かってくると普通に面白いのだが、哲学的かつ思弁的なテーマが映画全体を覆っているため、あっけにとられているうちに映画が終わってしまうという場合も多いかもしれない。

「2001年宇宙の旅」に関する批評や解説は恐らく無数に出ているので、観てみて「なんかスゴイけどよく分からない・・」という人は色々調べてみるのが良いと思う。僕は作品をありのままに受け取って一喜一憂するだけが正しい芸術鑑賞のあり方だとは思わない。その作品の周辺情報を調べてみて、より理解が深まるがあるし、そうする事で自分自身の世界が広がっていく。そういう意味ではこの映画ほど示唆に富んだ映画は無いし、ゼロ・グラビティやインターステラーなど、最近のSF作品もより違った角度から観る事が出来ると思う。

 

裸のランチ('91)

クローネンバーグほど何を考えているのか分からない映画監督もいない。「イースタン・プロミス」のようなスタンダードなサスペンスもつくる事が出来るのに、「ヴィデオドローム」や「コズモポリス」のようなギリギリすぎる映画も沢山つくっている。そしてそんな中でも「裸のランチ」はぶっ飛びまくった映画だ。

「ビートニク」という50年代に流行った文学形態の中でも、取り立ててファンの多いウィリアム・バロウズの小説を映画化したもの。まず、この小説自体がめちゃくちゃ難解らしい。そして、それを映像化したこの映画も極めて難解。観てる間ずっと頭がくらくらしてくる。ただ、タイプライターが化け物になって襲ってくる、という感覚は文学好きの人からすると分からないでもないかと思う。「文章を書く」=「物語を綴る」って実は結構ヤバいし恐ろしいよね、みたいな素朴なことがテーマになっているのかな?とボンヤリしつつも考えた記憶がある。文学というもののヤバさを少しでも考えた事がある人であれば、必ず心に残る映画になると思う。

 

ベンジャミン・バトン('08)

数年前から祖母が弱っていて入院生活になり、お見舞いに行くたびにこの映画の事を思い出す。元々はスコット・フィッツジェラルドの小説であるこの話というのは、決して荒唐無稽なものではなく、ある角度からみた現実世界そのものだ。

主人公のベンジャミン・バトンが老人の状態で生まれ、年を取るに従って若返っていく人生を送る、というあらすじ。ベンジャミン・バトンの人生は確かに数奇なものだが、では数奇ではない人生を送る人などいるのだろうか?「老い」の逆転というものを軸にしながら、人の人生の本質に迫るような素晴らしい映画になっている。出演はブラッド・ピット、ケイト・ブランシェットら。ちなみに監督のデヴィッド・フィンチャーはこの映画でのCGの演出が好評を得た事に味をしめ、次の「ソーシャル・ネットワーク」ではより大胆なCG演出を試みている。このような意欲的な姿勢を保ち続けているところもフィンチャーの凄いところ。

 

ファーゴ('96)

批評家から支持されていながらもヒット作には恵まれていなかったコーエン兄弟が、最初に大きな興行的成功を果たした作品。あらすじは以下のようなもの。お金に困ったサラリーマンの男が、チンピラ二人を雇って自分の妻を誘拐させ、妻の父親から身代金を取るという計画を企てる。ところが、計画実行中に尋問に来た警官をチンピラが殺害してしまい、そこから事態は思わぬ方向に転がっていく・・。

お金に振り回される愚かな人々を描いたという点では、コーエン兄弟らしい映画なのだが、わりとホッコリした結末に落ち着く所が多くの観客の支持を得たようだ。チンピラの片方を演じているスティーヴ・ブシェミが最高で、とにかく小物感が全身から漂っていて喋り方のショボさとかが素晴らしい。R2-D2とC3PO、ジャイアンとスネ夫みたいに、2人組チンピラというのは「巨漢の強い奴&チビのお喋り野郎」というのが万国共通らしい。

 

ノー・カントリー('07)

こちらもコーエン兄弟監督作品。原作は「現代アメリカ4大作家」の一人にも数えられるコーマック・マッカーシーの「血と暴力の国」。このタイトルからも分かるように、とにかく人が死にまくる映画。アメリカとメキシコの国境地帯で、マフィアの麻薬取引に巻き込まれた主人公が恐ろしい殺し屋「アントン・シガー」から逃げ回る話。

ハビエル・バルデム演じるこのシガーの存在感は全くたまらないものがある。文字通り殺人マシーンと化していて、人間の持つ暴力性を一挙に秘めたような恐ろしさが醸し出されている。髪型が何故かおかっぱであるあたりも恐ろしい。終盤、突如として思弁的な展開になるところで「あ、これコーエン兄弟映画だったよな」と思い出すような映画。ちょっと批評家っぽく感想を言うとこのようになる。この世界にはアントン・シガーのような超越的な暴力というものは存在しないにせよ、死というものは誰にも必ず訪れるものであり、死それ自体が超越性であるとも言える。そうした避けられない運命としての「死」を時には暴力的な描写で、時にはポエティックなセリフで語ってみせるのがこの「ノー・カントリー」という映画だと思った。

 

メメント('00)

最近たまたま見直す機会があって、改めて凄い映画だと思った。クリストファー・ノーランがその才能を一躍知らしめた異色サスペンス。

この映画には二つのアクロバティックな要素があって、「主人公は記憶が10分間しか続かない」という点と「ストーリーの時間が逆向き、つまり過去に向かって物語が進行する」という点だ。ここだけ聞くと、ちょっとトリッキーな仕掛けで観客の気を惹こうとしているだけのように聞こえるかもしれないが、これを見事に物語のテーマに結びつけて、ガツンと一発食らわされるような映画に仕立て上げられている。つまり、「忘れるとは何か」「過去とは何か」という事を通して人間の実存に深く迫っているというのがこの映画の凄い所。しかも、ラスト直前まではずっとハラハラドキドキのサスペンスなのに、一気にそのような哲学的なテーマが立ち上がってくるという作りになっている所も他に類を見ない。

メメントもHuluで観れます。2週間無料を活用しましょう!

 

ダークナイト('08)

クリストファー・ノーラン監督作品。全世界で大ヒットした映画ながら、日本では興行成績が振るわず、実際に見た人からの評価も思わしくないらしい。実際、かなり問題のある映画である事は間違いなくて、全く不要なシーンや変な演出も多数見られる。

それでもこの映画が支持されているのはひとえにヒース・レジャー演じる「ジョーカー」の圧倒的な存在感に多くの人が魅了されたからなのだ。悪であるジョーカーが何故魅力的なのかという事に関しては、町山智弘さんの解説を聞いて頂くに越した事は無い。ヒース・レジャーはこの映画を撮り終えてしばらくした後、オーバードーズの為28歳の若さで亡くなっているが、これはジョーカー役に入り込み過ぎて精神のバランスを崩した為だとも言われている。それが本当だとしたら「ブラック・スワン」のような話が図らずも現実化してしまった例といえるが、「ダークナイト」と「ブロークバック・マウンテン」という映画で偉大な功績を果たしたヒース・レジャーという俳優を、僕はこれからも忘れる事はないだろう。

 

インビクタス / 負けざる者たち('09)

クリント・イーストウッド監督作品の中ではもっとも爽やかでポジティブな空気感の映画。1994年に南アフリカ初の黒人大統領となったネルソン・マンデラと、南アフリカのラグビーチームを通して、「不屈の精神」というものを描いた感動作。マンデラ大統領役をモーガン・フリーマン、ラグビー南アフリカ代表の中心選手をマット・デイモンが演じている。

「スポーツを通して人種差別を乗り越える」というとあまりに軽い感じがするし、そんな簡単な問題では無いだろうとも思ってしまう。しかしサッカーやラグビー、野球のような多くの人の注目を集めるスポーツというのは大きな力を持つし、大きな影響力がある。同じ南アフリカ人が一致団結して戦う姿を観ていたら、それが黒人だろうが白人だろうがだんだん関係なくなってくる。実際、僕らも闘莉王とかラモス瑠偉が日本代表のユニフォームを着て戦っていても、違和感を感じるのは最初の数十分だけで、あとは「なんでも良いから勝ってくれ」といった気持ちになっている。ナショナリズムの問題に比べると、民族的な差異の問題というのは遥かに小さいのだ。マンデラはある意味でそれを上手く利用していたとも言えるのだけれど、結果的にそれが成功したのは、彼自身の強固な信念があったからだろう。
今は、スポーツの現場でも人種差別に関する問題が取りざたされている。「表現の自由だ」とか「そんなの大した事じゃない」といった小学生のような理屈でそれを支持する人もいるが、スポーツの持つ影響力をしっかり考え、厳しく対処していくべきなのは言うまでも無い。

 

ヒアアフター('10)

こちらもクリント・イーストウッド監督で、主演はマット・デイモン。霊能力や死後の世界といった、一種オカルトめいたものを題材にしていて、イーストウッド作品としては一見異色な印象も受ける。ただ内容そのものは「死後の世界は存在するか否か」といった事とは実は関係ない。要は「自分自身の世界をどこまで大切にできるか」という、人の生き方を問うような深い映画だ。

これは結構難しい問題で、自分を守る事と自分の世界を大切にするというのは実は全然違うという事だと思う。誰かに対して「〇〇さんて自分の世界を持ってるよね〜」なんていうとき、何となく半笑いでバカにしたようなニュアンスも生まれてしまうが、本当に何かを信じている人というのは自分の中で色々なことを犠牲にして生きているものだし、そういう人こそが誠実なのだ。どれほど孤独であっても、自分の信じた道を行けば必ず分かってくれる人がいるのだと、温かく勇気付けてくれる感動的な映画。

 

タクシードライバー(’76)

マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演。アメリカン・ニューシネマを代表する映画として今でも多くの作品に影響を与え続けている。非モテで鬱屈を溜め込んだタクシードライバー・トラヴィスが「腐った街を浄化してやる」と意気込んで大統領候補暗殺を試みるも、事態が思わぬ方向に転んでいく、というあらすじ。

モテたいがために自分を表面だけ取り繕う人間や、目の前の人間の承認だけを求めるような人物はただ単に浅はかだ。でも全くモテなくて異性から相手にされなかったり、誰からも認めてもらえないという事が人の精神を強く追い込んでいくというのもまた事実。モテないからといってトラヴィスのように過激な行動に出る人は実際には少ないのかもしれない。ただ、そこで生じたストレスというのは何らかの形で精神に影響を与えているし、何らかの形で世の中に影響を及ぼしているはずだ。「社会に貢献しよう!」とか「世の中をもっと良くしよう!」とかいきなりでかい事を考える前に、まずは他人からモテる事を目指してみるのが人生の秘訣だったりするのかもなあ、なんてことも考えさせられる映画。

 

ザ・マスター('12)

ポール・トーマス・アンダーソン監督・脚本。僕は大好きな映画だけど、かなり変わった作品である事も否めない。第二次大戦後のアメリカで勢力を拡大していたある新興宗教の教祖「ザ・マスター」と、突然現れた帰還兵・フレディとの心の繋がりを軸として、人の出会いや別れ、人生について考えさせるといったあらすじ。教祖役はフィリップ・シーモア・ホフマン、フレディ役をホアキン・フェニックスが演じている。

初めはしょうもない与太郎にしか見えなかったフレディが、ラストに近づくにしたがって心から愛すべき人物に変貌していくのが不思議。こういう体験をすると、映画ってすごいなあと思う。終盤、フレディがバイクで遥か彼方へと駆け抜けるシーンは本当に泣ける。どんな人にも、成長する為に遠く旅に出なければならない瞬間と言うものがあるのだ、という感想を抱いた。

 

 

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参考記事:Huluに加入してからツタヤにほとんど行かなくなった

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